「利用者像が見えてこない」と指摘されて悩んでいませんか?
少なくとも私は、実習中に指摘されるのみならず、就職1年目に先輩から「それって誰にもあてはまるよね。もう少し人物像がみえてこないと・・・」と言われて悩んでいました。
趣味や生活歴を聞いてみても、日常生活動作の遂行状況を伺っても、なんだかうまく表現できなかったんです。
その解決の糸口が「生活モデル」の理解でした。生活モデルを解釈できるようになると、生活課題のとらえ方が上手になってきます。今回は生活モデルについて掘り下げで見ましょう!
知ってはいるけど、わからないのは何故?・・・「生活モデル」
私たちリハビリ職は、ついつい問題点探しに力を入れがちです。ICFの授業で「生活モデルの活用」「強みを生かそう」と習っているにも関わらず・・・
なぜなら養成課程においては「医学モデル」中心の教育を受けています。医療職ですから当然のことですね。病気・疾患について学び、その臨床症状や、もたらされる機能障害、治療方法を組み立てていく「原因→結果」の考え方がすりこまれています。
このため、動作が困難となっている問題原因を探しだし、改善へむけたアプローチを考えることが当たり前となっています。これは素晴らしいことでもある一方、生活期においては半分やっかいなことにもなるわけです。
医療モデルと比較して理解する
医療モデルと生活モデルを項目ごとに比較分類してみました。
「目的」としては、医療モデルでは病気疾患の治療、生活モデルでは自立支援・生活支援となります。
「対象者」は、医療モデルでは患者(病気の人)であり、生活モデルではあくまで生活者となります。
「サービス提供者」は、医療モデルでは医療専門職、生活モデルでは対人援助職ならびに家族やご近所、友人などになります。
「内容」としては、医療モデルでは治療行為であり、生活モデルでは生活支援となります。
「目標」は、医療モデルでは退院や通院の終了であり、生活モデルでは課題の解決がゴールとなります。
つまり、生活モデルでは生活課題を見つけ出し、その課題解決の方法を見出すことを目指しているわけです。
具体例で比較
大腿骨頸部骨折後の場合で比較してみます。(強引な例ですよ)
医療では、頸部骨折術後による疼痛緩和や可動域改善、筋力改善を行い、歩けることをめざしたプログラムを展開していきます。
一方生活期では、買い物に行けないという問題に対して、暮らしていけるための方法論をみつけだしていきます。環境設定や介護力の確保、福祉用具をはじめとする制度の活用を考え、ご本人の残された機能の活用と改善を図ります。
つまり「できない原因の解消」のみにとどまらず、やりたいこと、やるべきことの遂行のために、活用できるものは最大限活用する視点を持っています。
まとめ
「利用者像が見えてこない」と言われる理由は、疾患に重きを置いた医療モデルでの視点にとらわれていることが要因と考えられます。
生活期では、何ができなくて困っているのか?、何をやりたいと願っているのか?に耳を傾け、課題解決の方法を考える必要があるんですね。
生活モデルと医療モデルの違いを理解することで、生活支援のポイントをつかんでもらえたらうれしいです。
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